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支部長挨拶

支部長挨拶

一般社団法人 日本応用地質学会
関西支部長 三田村宗樹

 関西支部の支部長を務めております三田村宗樹です。

 関西地方は第四紀の地殻変動が顕著に現われた地域で、基盤岩からなる山地と、第四紀層で主に構成される盆地・平野とが交互に織りなす地形・地質が特徴に現れています。このため、応用地質学的にも興味深い事象が多々見られます。山地を主に形成する基盤岩としての付加体地層群、変成岩類や新第三紀層などは斜面安定に関わる問題が顕著に認められ、これまでにも大規模な斜面災害を生じさせました。花崗岩類は風化に伴う土砂化により表層崩壊や土石流が発生しやすく降雨の際に土砂災害をもたらします。構造性の堆積盆地を埋める厚い第四紀層は、軟質な都市地盤として地震災害・地盤沈下の要因となり、都市域の開発における各種の地盤問題や地盤環境問題の背景として重要な位置を占めます。さらに、山地と盆地の境界をなす活断層群の実態把握や、各種の応用地質学的問題に関わる断層の諸性質の解明なども関西地方における重要な課題でもあります。

 このような多岐にわたる問題に対して、地層・岩体の応用地質学的特性を明らかにすることは、持続的な開発や地盤環境の保全、防災面や災害後の対策にとって重要であります。また、近畿地方をはじめとする西日本の広い範囲では、近い将来発生するとされる南海トラフ地震への事前の対応が求められてもいます。

 応用地質学会の関西支部会員は、これらの諸課題を応用地質学的視点から見据えた各種の調査・研究や具体的対策への寄与などに関わりながら活動を進めております。また、関西支部では研究発表会・技術講習会・見学会などを実施するとともに、会員相互の学術的な交流や若手の育成を促進しているほか、アウトリーチとして、子供を対象とした体験教室への参加など地学教育への関与も行っています。

 関西支部のこれらの事業を支部幹事とともに相互協力のもと企画・実施してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。